こんにちは
FAロボットマネジメントの三輪です。
今回は深刻な人材不足が懸念される製造業が様々な製造工程に協働ロボットを活用していく事のメリットや注意点について解説していきます。
製造業全般に人材不足の波が来ています。
日本の労働人口は数年前から減少傾向であり、日本の総人口も2021年にピークを超えて減少領域に入りました。
政府側も本腰を入れて少子化対策を講じていく様な発信をしておりますが、実際に労働人口は今後20年で10%は減少していくデータが出ています。
また、新卒者が製造業に入職する割合は全体の10%程であり、その内の70%の人は従業員1000名以上の大企業に入職します。
つまり従業員1000名以下の製造業に入職する新卒者は全体の9%以下というデータが示す通り、製造業の人材不足の声は多くの企業様からお聞きします。
そんな環境下で今注目を集めているのが協働ロボットです。
元来、ある一定の力を持った多関節ロボットには周囲に安全策を設ける必要がありましたが、ロボットの各軸にトルクセンサーが搭載されて負荷を検知する事で電源が遮断される機能を搭載した事により安全策が不要となり、人と並んで作業する事が認可されました。
製造業の中でも特に人に依存している傾向が強い食品業界を中心に活用方法が活発に研究されています。
農林水産省や経済産業省も協働ロボット活用検討を支援しており、製造企業とロボットメーカーやシステムインテグレータが協力しながらソリューション開発を行っています。
協働ロボットを活用するメリットとして大きいのは、危険性が少なく沢山の周辺機器とのシステム連携をさせなくても動かす事が出来る事です。
ロボットを制御するソフトウェアの進歩は目覚ましく操作性も良く専門知識が無くてもすぐに操作出来る様になってきています。
そして、何といっても最大の特徴は人が作業しているエリアにそのまま組み込む事が出来る事ですね。
流れ作業のような人と人が作業をしながら連続的に工程をつないでいくライン構成であれば、大きなライン構成や設計変更をしなくても、人員の代替えとして協働ロボットを導入して活用する事が可能です。
操作が簡単でセルフインテグレーション出来る協働ロボットですが、使う上で注意しておかなければならないポイントがいくつかあります。
各軸にトルクセンサーが入っているが故に動作性能が低い事です。
送り速度や可搬重量、繰り返し精度は通常の産業用垂直多関節ロボットに比べると大きく性能差があります。
もちろんロボットメーカーは、様々な工夫をして速度・可搬重量・停止精度を向上していますがまだまだ性能差は埋まっていません。
次に
操作性が良く簡単に動かす事が出来るといえど、そのままでは何も出来ない事です。
ロボット全般に言える事ですが、ロボット単体では何も出来ません。
使用する工程に合わせてハンドエフェクターやセンサー、カメラなどを駆使していかないとまともに加工工程の代替え作業を行う事ができません。
つまり産業用ロボットと同様にシステムインテグレーションが必要ですので自社にインテグレーション出来る人材がいない限りは外部のシステムインテグレータの協力が必要でしょう。
最後に価格です。
協働ロボットは産業用垂直多関節ロボットに比べて価格が高いです。
利便性を高める為のソフトウェアや各軸のでトルク制御など色々な機能が搭載されている事に加えて、カメラ内蔵している物もあり価格は高くなっています。
10㎏可搬程度の小型の協働ロボットでも欧州製のハイスペックなモノは1000万円ほどしますし、比較的安価で性能の良い台湾製の協働ロボットでも500万円はします。
そこから加工工程や自動化したい作業に合わせて周辺機器をインテグレーションしていった場合には、更に追加の費用が掛かる事になります。
世界中で新規スタートアップや老舗メーカーなどが様々な機能を搭載した協働ロボットを開発しており、性能や価格に大きな開きがあり、選定は非常に難しいです。
結局、性能と安全性と価格、インテグレーション後のシステム全体の価格を比較した時に協働ロボットを使うメリットが無い為、産業用ロボットもしくは、直行軸を組み合わせた自動機を作るという判断になる事もあります。
製造業の自動化と労働生産性の向上は深刻な課題でもありますが、どのように自動化を行うのが効率が良いか?投資効果があうのか?を検討する事は非常に難しい課題です。
人がやっている作業を自動化したいから安易に協働ロボットを買えば良いというものでもありません。
しっかりと現状と目指す姿を分析・検討しながら導入していく事をおすすめします。
今回は協働ロボットを導入するメリットや注意点について述べてきましたが、如何でしたでしょうか。
割と協働ロボットに対してネガティブなコラムになってしまいましたが、私も協働ロボットには大きな可能性を感じています。
特に今注目しているのは、中国製の協働ロボットです。
中国製協働ロボットについては、次回のコラムで詳しく取り上げていこうと思います。
FAロボットマネジメントは自動化に挑戦する企業様を全力で応援します。
無料現場診断等もご対応させていただきますので、何かご質問等ございましたら問い合わせフォームよりご連絡ください。
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