「磨く」と「削る」をロボット化するべき理由とその方法・・ 研磨工程へのロボット導入の為のポイント解説・・後編

こんにちは
FAロボットマネジメントの三輪です。

今回は前回に引き続き研磨工程の自動化について述べていきます。

前編では、研磨工程のロボット活用について必要性を述べてきましたが、今回は具体的なその方法について記載していこうと思います。

まず研磨工程の自動化を考える為には何よりも現場分析が最も大事です。
どの様な作業をを何名でどの位時間を掛けていてどの位生産性を向上させたいのか?
製品の形状や研磨に求める品質は?
人間が研磨作業を行う上で注意しているところや技術的に難易度が高い所は?
をしっかりと把握する必要があります。

上記で把握した現状分析結果よりロボットシステムをカスタマイズする要件や予算設定、投資効果の目標を設定する事が出来ます。
逆に現場分析をしっかりとしていないと、目的や目標、自動化システムに必要な技術要件がはっきりとしないままシステムを構築する事になり、無駄に費用が高くなったり、性能が求めたレベルに達しない様な事が起き得ます。

研磨作業にロボット活用する方法ですが、最も簡単なのは、既存で手作業で使っているツールををロボットに搭載する、もしくはワークをロボットで把持して既存のツールに当てる。
が最もシンプル且つ考え易い方法です。

グラインダーやリューター、オービタルサンダー、ベルトサンダーなど様々なツールがありますが電動であれエア駆動であれ、ロボットには搭載する事が可能です。
ロボット先端のハンドエフェクター接合部に専用の治具を製作して既存のツールを固定すれば良いです。
後はロボットコントローラーからリレーなりソレノイドバルブを信号出力で切り替えして動力をツールに供給すれば既存のツールを駆動させる事が出来ます。

ただし、注意しなければいけないのは、砥石の押し付け力をどの様にコントロールするかです。

どの位の力と時間でツールをワークに押し当てるのか?は研磨技術の中核でありノウハウの塊です。

ツールをワークに押し当てる力をコントロールする事をロボットの動きだけで制御する事は技術的には可能ですが、実際にはコントロールする領域が繊細且つシビアすぎてロボットでコントロールする事が出来ないのが現状です。

なので、ツールとロボットの間に押し付けを一定にする為の「逃し」機構を設ける事が必要です。

例えばコイルバネを使ったりエアシリンダーなどを用いて一定の力がある程度のストローク中は、常に一定して掛かる様な機構を設ける事で、ロボットの位置は変えなくても、機構が勝手にツールの押し付けを均一にしてくれる訳です。

当然どの位の力で押し付けてやるかによってバネやエアシリンダーのスペックを変える事で力の切り替えは可能です。
しかしアナログ方式な機構なので、多品種でそれぞれのワークを研磨する為に必要な押し付け力が違う場合は、部品交換などの段取りが必要になってきます。
一つのワークでも研磨砥石の番手を変えながら荒研ぎ、中研ぎ、仕上げバフなどツールを変更しながら研磨していくワークも同様です。

そのような場合

押し付け力を設定一つでリニアに変更出来る様に開発されたロボット専用の研磨装置が販売されています。
ツールとロボットの間にトルクセンサが内臓されており、ツールに掛かる負荷を常時測定しながら設定したトルクがツールに掛かる様にロボットの動作を制御するものです。

押し付けトルクを制御する事に加えツールチェンジも自動で出来る機構も備わっており、多品種対応が可能です。
既存の手作業ツールを活用するに比べると高価な機器にはなりますが、かなり有効なツールであると思います。

あとは、ツール交換の頻度も自動化する際には検討しておく必要があります。

ツールで制御する砥石の回転数や押し付けトルクを決めても肝心な砥石が摩耗していては、現物の加工状態が一定になりません。

ロボットシステムで研磨した場合にどの位砥石が保つのか?は一度テストを実施する事で分かりますので、余りに高頻度で交換が必要な場合には、砥石交換も自動化出来る様にシステムを組む事も検討する事をお勧めします。

最後に
研磨の自動化を進めていく場合、人間の研磨作業で作った品質が100%自動化する事を最初から求めない方が良いです。
それほど熟練した職人の作業は自動化する事が難しいです。
本当に職人でなくては実現出来ない最終の仕上げ作業のみ引き続き職人さんにやってもらいつつ、仕上げ前の段階までは自動化する事で全体の生産性を向上させる様なスタンスで自動化を進めて行くのが望ましいと思います。

研磨技能を保有している職人には、本当に価値のある最終仕上げや若手社員への技能伝承に注力していただく事が、研磨作業自動化、製造業DXの最大のメリットとも言えると思います。

前編・後編に分けて研磨工程へのロボット活用について必要性や方法について述べてきましたが如何でしたでしょうか。
FAロボットマネジメントは自動化に挑戦する企業様を全力で応援します。
無料現場診断等もご対応させていただきますので、何かご質問等ございましたら問い合わせフォームよりご連絡ください。

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