皆さんこんにちは
FAロボットマネジメントの三輪です。
今回は産業用ロボットを導入した後にしっかりと稼働させ、自社のモノづくりDXを達成する為に気を付けるべきポイントについて述べていきたいと思います。
溶接ロボットのみならずハンドリングロボット、研磨ロボット、塗装ロボットなど垂直多関節型の汎用型ロボットに特殊なハンドエフェクターを搭載した工程別に特化したロボットシステムを導入する事自体はさほど難しい事ではありません。
溶接ロボットシステムを導入した場合で考えてみると、例えば。
垂直多関節ロボット、ロボットコントローラー、溶接トーチ、溶接電源、ワイヤー供給装置、不活性ガスとワークを置く作業台が有ればロボット溶接は可能です。(安全装置は除く)
この様な構成で溶接ロボットを導入いる企業様も良く見かけます。
システム構成がシンプルな分、価格も安く済みます。
しかしロボットシステムを導入した後はどういう運用になるでしょうか。
1、専用の治具作成と段取りの治具交換
加工するワークの形状に合わせて専用の治具を大量に作成する必要があり、同時に治具交換の段取りが必要になります。
多品種少量生産が基本の中小製造業には非常に負荷が高く段取りの回数が増えれば増えるほどロボットが稼働する時間は短くなってしまいます。
2、ワークの供給・交換に掛かる時間
例えば一回のロボット溶接時間が5分掛かるとして、溶接終了後にワークの交換に2分掛かったとしましょう。
(溶接完了品を取り出して新しいワークをセットしてロボットを起動するまでの時間)
実際にはあまり無いケースですが、一日中段取り無くずっと同じ製品を生産していたとしても、上記の様な場合はロボットの稼働率は最高で7割程度です。つまりワークの供給交換時間はロボットが停止してしまうので物理的に稼働時間が短くなってしまいます。
3、溶接不良やロボットエラーによる停止時間
ロボットは教示した動作を繰り返す事しか出来ません。対して金属加工品は溶接による熱歪などで形状には個体差が生まれます。
結果として溶接トーチの狙い位置のズレによるアーク不良やトーチとワークの接触などによるエラー停止などが頻繁に発生します。
1度エラーが発生してしまうと溶接途中のワークは手直し溶接が必要になりますし、ロボットは原点復帰させて新しいワークを投入して再起動を掛けます。ロボットシステムの停止復旧時間が多ければ多いほど稼働時間は短くなって行きます。
ロボットシステムを導入したのは良いけれど、上記の様な課題でまともに動いていないというお悩みは非常に多く見聞きします。
設備投資の効果を発揮出来ていない事のみならず、ロボットを使うよりも手でやった方が早いという風な考え方で現場作業員がロボットを使わなくなってしまうなんて事もあるあるです。
つまりはロボットシステムを導入後にしっかりと稼働させる為にはあらかじめ上記に挙げた3つのポイントに対して解決策を検討し必要な機器を盛り込んでシステム構築する事が重要なのです。
どの様な機器を盛り込んでシステムを構築していけば良いかというのは、作っているものの加工方法や特性・量や時間などによってまちまちですが、基本的な考え方としては下記に集約出来ると思います。
それは、
■徹底した外段取り
■加工現物の形状認識
です。
・如何に部品供給や交換作業を外段取りするか?
・如何にロボットのエラー停止やアーク不良停止を抑制するか?
・如何に段取り回数を減らすか?または如何に段取りに掛かる時間を短くするか?
ここをしっかりと分析してロボットシステムの構成に組み込む事がロボットシステム導入後の稼働を大きく左右する事になります。
しっかりと稼働出来るシステムを構築する事で現場作業員が付加価値の高い工程に集約すると同時に労働生産性が飛躍的に向上する事こそが本当の変革でありDXであると思います。
溶接ロボットだけでは無く研磨ロボットや塗装ロボット導入でも同じです。
システム導入前からしっかりと如何に稼働率を高めるかを念頭に置いてシステム構築しロボットを導入する事よりも導入した後に如何に稼働させるかに意識を注力する事をお勧めします。
FAロボットマネジメントは正にここのご支援に注力してご支援させていただきますのでご質問などありましたらお気軽にお問い合わせください。
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