こんにちは
FAロボットマネジメントの三輪です。
今回は前回に引き続き金属加工業の自動化するべき工程とポイントについて述べていきたいと思います。
・鋳造加工業
鋳造加工業にも沢山種類があり金属材料によって加工方法は大きく変わりますね。
ただ下記の様に幾つか共通する事があります。
1 、高温且つ重量のある液体化した金属を扱う
2、型に流して成形する為に必ずバリが発生する。
事です。
1に関しては、本当に危険と隣り合わせの作業であり、非常に過酷な作業環境で人間が注湯作業(金属を型に流し込む作業)を行なっています。
この注湯作業は簡単そうで実にカン、コツを必要とする職人技の作業なのです。
注ぐ速度や金属の温度などを管理しながらいかに複雑な型の隅々まで溶かした金属を行き渡らせるかに多くのノウハウが必要な為、属人化している作業なのです。
属人化している以上、今後の労働人口減少と技術伝承には大きく問題を抱えており自動化する事が必要な工程であると言えます。
この様なノウハウが必要な工程の自動化を検討する際に最も大事なのは、普段職人さんが頭の中で行なっている状況判断を如何に平準化した作業に落とし込むかが肝心です。
金属の温度を色で判断したりしている世界です。
自動化するためにどの様な機器が必要なのか?は全て職人さんの思考を抽出して現在の技術や機器スペックと照らし合わせる事で導き出す事が可能です。
もちろん100%自動化する必要はありません。
職人さんのカンやコツに頼っている所を中心に自動化を進めていけばロボットと職人さんの作業分担するべき領域が見えてくるはずです。
あとはやはりバリ取り作業ですね。
鋳物の場合は大なり小なり必ずバリ取り作業は行っている事でしょう。
基本的に型や注湯方法によって発生するバリの形状や量は一定になる事が多いので、非常に自動化しやすい工程ですが、あまり自動化に取り組んでいる企業は多くありません。
鋳物がメインの加工業様の場合どうしても設備投資が型や加工機に回してしまいがちです。
しかし、研磨に多くの人と時間を費やしている事はメインの鋳造の足を引っ張る事にもなります。
検査についても同様です。
立体的な成形品で寸法要求も厳しい鋳造品は全数検査が必要な場合も多いでしょう。
この様な検査の場合治具にはめて確認し保証する作業を行なっている事が多いですが、こんな作業も全て自動化が可能です。
ロボットでバリを自動で研磨した後に別ロボットでワークを3Dスキャンさせて治具レスで寸法検査し品質データは全てクラウド上に自動保管される。
そんな事が現実に可能です。
鋳物の技術と付加価値は型の設計や製作、注湯や温度管理等にあると筆者は考えていますので貴重な人材はやはり上記の様な業務に集中していただき、これまで培ってきた職人の技術や経験を伝承しつつ、自動化による競争力強化で業績を拡大していただきたいですね。
・プレス加工業
基本的に大量生産向なプレス加工は加工タクト
が肝ですよね。
プレス業界も大型プレスで加工する様な自動車のドアパネルとか大きなものはロボットでハンドリングさせる事が増えていますが、小物はまだまだ人手でワークセットとプレス機の起動を行なっています。
プレス加工業様からは、ロボット化しない理由にロボットだとタクトが間に合わないから採算が合わないという事を良く聞きます。
確かに小物部品を高速で人が処理している事を前提にロボットと比較するとロボットでは間に合わないでしょう。
ロボットの動作速度は問題ありませんが、モノの把持する際の位置決めや姿勢調整に時間が掛かる為トータルで時間は掛かってしまいます。
ですが、本当に人と同じ速度で動かす必要があるでしょうか?
人は瞬間的には作業は速いですが、疲れますし休憩もします。風邪を引いて休みますし退職する事もあります。
もちろん多品種に対応する事は前提でプレス機へのワーク投入作業をロボット化する事ができれば、休憩も休みも退職も無くずっと作業させる事が出来ます。
システムの組み方によっては夜間稼働も十分可能でしょう。
プレス加工業の技術的付加価値としては、鋳造業同様に型の精度と量産による低コスト化にあるでしょう。
これまではいかに単位時間当たりの加工数を上げるかに注力していたかと思いますが、それはあくまで人が作業をする前提での考え方だと思います。
加工は自動化して無人化し、貴重な人材は型の維持管理や設計等に集中させつつ、ロボットの稼働時間拡大や加工タクト短縮の為の機構改善等を社内で進められる人材を育成していく事が今後の鍵になるのではと思います。
FAロボットマネジメントは自動化に挑戦する企業様を全力で応援します。
無料現場診断等もご対応させていただきますので、何かご質問等ございましたら問い合わせフォームよりご連絡ください。
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