ロボットとは何か?生産工程にロボットを導入する為の基礎知識と産業用ロボットの種類や活用方法について解説

今回は数多くある産業用ロボットの種類とそれぞれの特徴とおすすめの活用方法について述べていきたいと思います。

■ロボットとは
下記の様にJIS規格に定義されています。 
JIS B 0134定義1130(ISO8373)
3つ以上の軸をもち、自動制御によって動作し、再プログラム可能で多目的なマニピュレーション機能をもった機械。移動機能をもつものともたないものとがある。

また労働安全衛生法では下記の様に定めれています。
労働安全衛生法
マニプレータおよび記憶装置(可変シーケンス制御装置および固定シーケンス制御装置を含む。)を有し、記憶装置の情報に基づきマニプレータの伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作またはこられの複合動作を自動的に行うことのできる機械(研究開発中のものその他厚生労働大臣が定めるものを除く

表記の文言だけ読んでも基礎知識が無い人からすると少しわかりにくいですね。
キーワードとなるのはマニプレータやマニピュレーションです。
Wikipediaでは下記の様に記載があります。
工学分野では、手で操縦することを意味するマニピュレート(動詞)、マニピュレーション(名詞)する人や、機械などで作業を実行する部分をいう
そして下記の様にもあります。
リモート・マニピュレーター
ロボットの腕や手に当たる部分を指し、実験室等における放射性物質の遠隔取り扱いなど、広義の産業用ロボットの分野で使われる。人型ロボットの場合は人間と同じくアームと表現される。またロボットを操作する人間は通常「オペレータ」と呼ばれる。

要はマニプレータとはロボットアームと呼ばれる人間の腕の様な複雑な動きが出来る機構の事を指していますが基本的に広義の意味合いであり具体的な機構や動作原理などは指定されていません。

しかし昨今産業用ロボットと呼ばれるモノのほとんどは、サーボモーターと減速機と同時に複数のサーボモーターを制御する為のドライバーやソフトウェアで構成されています。
産業用ロボットの種類を語る際には、○軸ロボットという言葉が出てきますが、これはサーボモーターの数を軸と表現してます。

■サーボモーターとは
サーボモーター詳細な説明は省きますが、簡単にいうと検出器付きの電動機です。
モーターの回転速度や回転角度を検出して外部機器に出力する事が出来るものです。
このサーボモーターの集合体がロボットマニプレータであり、このサーボモーターの性能と数によってロボットの基本性能が決定付けられます。
■ソフトウェア(コントローラ)
そして精密な位置決めなどを可能にするのが、複数のサーボモーターを制御するソフトウェアであり、ロボットメーカー毎の性能差を大きく変えるポイントになります。
ロボットメーカーは沢山ありますが、ロボットに使用されているサーボモーターはモーター会社から購入している事が多く、ロボットメーカーや型式が違えどモーターは同じ物を使っている事もあります。
それを制御するソフトウェアこそがロボットメーカーの強みや性能の違いなど特色を産む訳です。
ロボットメーカーはソフトウェアメーカーといっても過言では無いでしょうね。

■サービスロボットと産業用ロボット
ロボットを分類する上で最も大きな区別としてサービスロボットと産業用ロボットがあります。
サービスロボットとは主にサービス業で使われる様な配膳とか受付とか案内などが主になります。ペッパー君とかペットロボットで考えるとイメージしやすいですね。
対して産業用ロボットは製造業を中心とした製造工程や加工が主な用途であり、それ故にパワーや位置決め等に性能を求められるモノです。

そして産業用ロボットの中でも用途や機能によって多くの種類があります。

■垂直多関節ロボット
主に6軸か7軸で構成されている物が多く、最も複雑な姿勢や高精度の位置決めが可能になる産業用ロボットの主役ともいえるロボットです。
可搬重量も大きく中には車1台を持ち上げてしまう様なロボットも存在します。
溶接や研磨などを中心とした金属加工や工作機械へのワークテンディング(ワークの供給排出)などに用いられる事が多いです。
■水平多関節ロボット
スカラロボットと呼ばれる事も多い水平多関節ロボットは3軸と上下1軸で構成されている物がほとんどです。
非常に高速で動作させる事が可能ですが、可搬重量は小さく小物の搬送ラインなどに用いられる事が多いです。
垂直多関節ロボットに比べて軸数が少ない為に操作も簡単なので、装置に組み込まれて使用される事も多い。
■直行ロボット
直行ロボットは単純な機構でモーターの回転をボールネジで往復運動に変換して1方向にのみ動作するロボットです。
この直行ロボットを複数組み合わせる事で3次元方向での動作も可能になります。
動作速度は遅く可搬重量も小さいですが、メンテナンス性や操作が非常に簡単です。
システムを設計する上で必要な機構に合わせて組み込みする事が可能なので、よく装置に組み込まれて使用されます。
■パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットはこれまで説明してきた産業用ロボットと大きく機構が異なり、天井から吊り下げる形で設置され、並列に構成された複数のリンクで一点を制御する「パラレルリンク機構」を採用した産業用ロボットです。
非常に高速で動作する事が可能で、産業用ロボットの中で最も加工タクトの早い工程に対応出来るロボットです。
主にコンベア上に流れる製品をカメラで位置認識してピッキングして移載する用途に用いられる事が多いですが、可搬重量と移動範囲が狭いという点があります。
軽量かつ多くの製品を素早く移載させたい工程に最適です。
■協働ロボット(垂直多関節型、双腕型)
日本においては、出力80ワット以上の産業用ロボットについては、「柵で囲い人間の作業スペースから隔離しなければならない」という国内規制が存在していたが、2013年12月にこの規制が緩和され、「ロボットメーカー、ユーザーが国際標準化機構(ISO)の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じる」などの条件を満たしていれば、出力80ワット以上の産業用ロボットでも人間と同じ作業スペースで稼働させることが可能となりました。
各軸にトルクセンサーが内蔵されており、障害物や人に接触した際の急激な負荷の変化を検知し、即座に電源を遮断する事が出来るようになっており、非常に安全性が高いロボットです。
ただし、可搬重量はそこまで大きくなく、基本は10kg程度です。最近では30kg可搬程度がリリースされています。
各軸にトルクセンサが内蔵されている事もあり、高速の動作は苦手です
高速で動かす事で位置精度にも狂いが出る事もある為に基本的にはゆっくりとした環境で使用する事が求められます。
また、協働ロボットの中でも垂直多関節型や双腕型があり、多様な姿勢制御を可能にしています。
人と並んで動作させたい場合や、作業者のツールとして活用する事が可能であり、最近では様々な加工ツールもリリースされてきており、溶接や研磨、ワークテンディングなども可能です。
食品業界への導入も活発に進んできており、今後最も伸びる分野のロボットである事は間違いないでしょう。

今回は基礎知識としてロボットの種類や各ロボットの特徴などについて記載していきました。
人材不足に悩む製造業を中心に今後もロボット業界は様々なものが生み出されて、どんどん現場への導入が進んでいく事でしょう。
各ロボットの特徴や機構を把握しておく事は、製造現場を自動化する際にとても重要になってきますので是非参考にしていただければと思います。

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